ひとつ、ベッドの中
視界に影が飛び込んできて顔をあげる。


「詩織おはよう」


そこには、スーツにネクタイ姿の凌ちゃんがいた。


いつか見た、ブラック系の怪しいホストちっくな装いとは違い、ダークブラウンの落ち着いたスーツ。


いつもは無造作なヘアが、今日はどことなくかしこまっていて、更に知的に見える。


「あの……」


駆け落ちするのにこんな正装?


まるで、結婚式にでも行くような格好に、あたしは目を白黒させた。


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