ひとつ、ベッドの中
両親が離婚をしても、一緒に暮らす方の姓を名乗らないといけないわけじゃない。

それは知ってる。


でも、お母さんと暮らすと決めたのだから、北川姓を捨てる覚悟をしていたのに。


一緒に暮らすのに、戸籍には入れてくれないの?


「凌ちゃん……もういいよ。いこう」


逃げ出してしまいたい。


スーツの裾を引っ張った。


今度こそ、未練も何もなく、絶対に駆け落ちする――




と、そのとき。





「どうせまたすぐに名字が変わってしまうんでしょ?それまで、北川でいなさい」



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