ひとつ、ベッドの中
「私は旧姓に戻るけど……」


唐突に、お母さんがそんな話を始めた。


離婚後のことを言っているのだろうか。


「……お母さん」


いくら凌ちゃんとの交際が許せないからって、今、ここでそんな話。

たまらず声をあげた。


「詩織はそのままでいいわ」

「……っ」


いつだって、自分のことばかりだ。

悔しくて、ジワリと目に涙が浮かぶ。


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