白銀の女神 紅の王(番外編)
「まぁ、そうだよな」
そう簡単に行くわけがないと思っていたのだろうか、ブルームは溜息を吐きながらそう呟いた。
「おにーさん、この女の知り合いか?」
「あぁ、そうだ。お前たちこそノーラに何の用だ?」
ブルームは先ほどの不自然な笑顔で取り繕うことなく声を落として男たちに問いかける。
よく見ればその顔立ちは若く、立派な身なりをしていた。
「何の用だ、って見て分からないの?この子とお近づきになりたくて声をかけてるんだ」
男たちの中でもとりわけ若そうな男が無邪気に笑って答える。
その顔には一片の悪気などなかった。
「俺たちがせっかく声をかけてやったというのにこの女無視しやがった。ちょっと礼儀を教えこまねぇとな」
「何が礼儀よ。ニヤニヤと嫌らしい笑みを浮かべて女をひっかけるような奴らに礼儀なんて教えてもらいたくないわ」
ノーラの言葉に案の定ピクリと反応した男たちの顔から笑みが消える。
ノ、ノーラさんなんてことを……
フンッと男たちに向かって馬鹿にしたように鼻で笑うノーラに聞いている私は内心ヒヤヒヤとしていた。
「あ?調子に乗るなよ女」
一番柄の悪そうで背の高い男がノーラに詰め寄る。
しかし、ノーラの強気な性格は治まることを知らず詰め寄った男の襟ぐりを掴み、口を開く。