白銀の女神 紅の王(番外編)
「その言葉そのまま返すわ。あなたたちのようなお子ちゃまには興味ないの。声をかける相手くらい選んだら?」
「おいノーラ、やめろって」
ブルームは小さな声でノーラを窘めるが、ノーラはそれを気に入らずフイっと顔を逸らした。
そんなノーラの態度にブルームは乾いた笑みを浮かべながら男たちの方に視線を移す。
「すまないな。見ての通りノーラは元来男勝りな性格だが、悪気はないんだ。許してやってくれ」
「うるせぇよ。彼氏でもないなら引っ込んでろ」
ブルームがそう言って一番手前にいた男の肩にポンと手を置いたのが気に食わなかったのか、激昂した男はブルームを突き飛ばす。
突然ドンッと肩を押され、後ろに倒れ込んだブルームは地面に体を強く打ちつけた。
「ブルーム!」
ノーラの悲痛な声が森に響き渡る。
いつしか曇天の空からポツリポツリと雨粒が落ち、辺りは暗くなってきていた。
ドクン、ドクンと心臓が大きな音を立てて鳴る。
「やっと静かになったか」
ブルームは地面にうずくまり、ノーラはブルームの名を叫んだきり黙り込んだ。