白銀の女神 紅の王(番外編)
どうしよう、こんな時どうしたらいいの?
ブルームさんが意識を戻したところで男三人には敵わないし、助けを呼びに行くといっても沿道は一本道で、あそこを通らなければフェルトの家まで辿り着けない。
一刻を争う事態に考えを巡らせていた時だった。
パァンッ…――――
乾いた音が森に響いた。
今度は何事かと茂みから沿道を除けば、ノーラが右手を上げ、その前には先ほどブルームを突き飛ばした男が左頬を抑えていた。
その光景を見てすぐにノーラが男の頬を叩いたのだと分かった。
肩で息をするノーラからは怒りにも似た気迫が伝わり、他の男たちは唖然とその光景を見ていた。
しかし、叩かれた男の怒りは更に大きかった。
「よくもやってくれたな女!」
男はノーラの胸ぐらを掴み、ものすごい剣幕で詰め寄る。
今度こそ訪れた最大の窮地に私の体は震える。
助けに行かなければと思うも、体が震えてしょうがない。
ブルームが敵わなかったのに非力な女一人があの場に行ったって何の解決にもならないかもしれない。
何より、あの男たちに怯える自分がいる。
粗野で横暴で自分勝手な男たちはどんな行動をとるか分からないからこそ怖かった。