片思いの俺
俺はできるだけ、当たり障りのないように言った。


「ゴメン。ボーッとしてた。で、なんかよう?」


朝日出渚沙は、自分の携帯で俺の教科書をコツンとさわった。


「教科書がないのよ。見してくれない?」


「え、あぁ。朝日出渚沙さんも勉強するんだ」

朝日出渚沙はムッと、あからさまに顔をしかめた。


……やば!

余計なことだったか?

めっちゃ怒ってるよ!!

どーすんだよ、俺は!?

俺は必死に弁解した。


「あ、あの。えっと。ずッと携帯見てたから、勉強する気ないのかなぁーって、さぁ」


「………フルネームにさん付けはやめて」


あ、そっち。
俺は、少し戸惑いながら言った。


「あ…じゃあ、渚沙ちゃん」


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