FatasyDesire~ファンタジー・ディザイア~
目を開くのと同時に眩しい太陽の光と、それに負けないくらいの笑顔が視界に飛び込んでくる。
クレドはまだ明るさに慣れない目を細め微笑んだ。
ご飯ご飯と連呼する少女のために、クレドはすぐさま身なりを整えると台所に立った。
キリエは今無性にオムライスが食べたいらしい。
まだ料理は始まってすらいないのにきちんとテーブルにつき、こちらを見守っている。
「あとどれくらいでできる?」
もう一度いうが、まだ料理は始まっていない。
しかしキリエのためならば多少のことは軽くやってのけるのがクレドである。
「すぐに作るから、大人しく待ってて」
「はーい」
クレドは予告通りものの数分でオムライスを仕上げた。
とても一人で作ったとは思えない速さだが、キリエはこれが普通なんだろうと頷き、スプーンを握りしめて目の前にオムライスが運ばれてくるのを待った。
そしてテーブルに運ばれたオムライスを見て、キリエは大袈裟に喜んだ。
いただきますと言って、変な持ち方でスプーンを進めるキリエに、クレドはまた「今日もここで留守番するの?」と問うた。
「うん。するよ」
当たり前じゃない、とでも言うような当然といった顔をされたら、やめてほしいとは言い辛い。
クレドは小さく溜め息をついて、意味もなくもぐもぐとオムライスを頬張るキリエを見る。
キリエが言い出したら言うことを聞かないのはわかっていたが、それで無理強いできない自分も自分であると、クレドは彼女にはとことん甘いのだと情けなく思う。
昨夜キリエがクレドに隠した出来事が気になるが、明日はようやく仕事が休みなため、その時にでもさりげなく聞けば良い。
午前10時、クレドは昨日のようにキリエのための食事を作ってから家から出ていった。
そしてクレドは後悔することになる。
何故あの時無理にでも聞き出さなかったのか、と。
キリエは出ていったクレドを確認すると、すぐにベッドの上に座って、昨日の少年が来るのを待った。
クレドには絶対に誰が来ても開けるあな、と忠告をされてはいるが、このフォレストがどれだけ危険で陰鬱な世界であるかをちゃんと聞いてはいなかった。
それは汚いものに蓋をして、彼女の目に触れさせまいとしたクレドの落ち度であったのだ。
「早く来ないかな、ヨシュア」
しかしキリエはクレドの考えやヨシュアの企みなど知る由もなく、ただただ少年との出会いに希望や楽しみを馳せていた。
純真であるが故、彼女は無知で滑稽だった。
キリエがヨシュアとコンタクトをとった窓は、外から見れば人の目には付きにくい位置にある。
その窓を開ければすぐに薄気味悪路地裏があり、ヨシュアにとってクレドのいない時間帯を狙えば、キリエと接触することは訳ない。
また、初対面の女相手に仕事をしなければならなかったクレドは、いつものように付け入らせる隙を見せないように、心を閉ざして、ただ義務のように客を抱いていた。
もう既に彼は性行という行為には何の感情も価値も意味もなかった。
これは仕事だから、と割り切った頭は既に麻痺している。
母のように自分を見守ってくれたジュリナの役に立ちたい。
キリエ以外に大切な者をクレドは確かに持っていた。
順位など決めなくてもわかりきってはいるが、クレドにとってはあの女性もまた、護りたい人であった。
クレドは自分の上で淫らに動いては嬌声を上げる女を、何処か他人事のように見て、今愛しい少女はどうしているのだろうかと、そんなことを考えていた。
クレドはまだ明るさに慣れない目を細め微笑んだ。
ご飯ご飯と連呼する少女のために、クレドはすぐさま身なりを整えると台所に立った。
キリエは今無性にオムライスが食べたいらしい。
まだ料理は始まってすらいないのにきちんとテーブルにつき、こちらを見守っている。
「あとどれくらいでできる?」
もう一度いうが、まだ料理は始まっていない。
しかしキリエのためならば多少のことは軽くやってのけるのがクレドである。
「すぐに作るから、大人しく待ってて」
「はーい」
クレドは予告通りものの数分でオムライスを仕上げた。
とても一人で作ったとは思えない速さだが、キリエはこれが普通なんだろうと頷き、スプーンを握りしめて目の前にオムライスが運ばれてくるのを待った。
そしてテーブルに運ばれたオムライスを見て、キリエは大袈裟に喜んだ。
いただきますと言って、変な持ち方でスプーンを進めるキリエに、クレドはまた「今日もここで留守番するの?」と問うた。
「うん。するよ」
当たり前じゃない、とでも言うような当然といった顔をされたら、やめてほしいとは言い辛い。
クレドは小さく溜め息をついて、意味もなくもぐもぐとオムライスを頬張るキリエを見る。
キリエが言い出したら言うことを聞かないのはわかっていたが、それで無理強いできない自分も自分であると、クレドは彼女にはとことん甘いのだと情けなく思う。
昨夜キリエがクレドに隠した出来事が気になるが、明日はようやく仕事が休みなため、その時にでもさりげなく聞けば良い。
午前10時、クレドは昨日のようにキリエのための食事を作ってから家から出ていった。
そしてクレドは後悔することになる。
何故あの時無理にでも聞き出さなかったのか、と。
キリエは出ていったクレドを確認すると、すぐにベッドの上に座って、昨日の少年が来るのを待った。
クレドには絶対に誰が来ても開けるあな、と忠告をされてはいるが、このフォレストがどれだけ危険で陰鬱な世界であるかをちゃんと聞いてはいなかった。
それは汚いものに蓋をして、彼女の目に触れさせまいとしたクレドの落ち度であったのだ。
「早く来ないかな、ヨシュア」
しかしキリエはクレドの考えやヨシュアの企みなど知る由もなく、ただただ少年との出会いに希望や楽しみを馳せていた。
純真であるが故、彼女は無知で滑稽だった。
キリエがヨシュアとコンタクトをとった窓は、外から見れば人の目には付きにくい位置にある。
その窓を開ければすぐに薄気味悪路地裏があり、ヨシュアにとってクレドのいない時間帯を狙えば、キリエと接触することは訳ない。
また、初対面の女相手に仕事をしなければならなかったクレドは、いつものように付け入らせる隙を見せないように、心を閉ざして、ただ義務のように客を抱いていた。
もう既に彼は性行という行為には何の感情も価値も意味もなかった。
これは仕事だから、と割り切った頭は既に麻痺している。
母のように自分を見守ってくれたジュリナの役に立ちたい。
キリエ以外に大切な者をクレドは確かに持っていた。
順位など決めなくてもわかりきってはいるが、クレドにとってはあの女性もまた、護りたい人であった。
クレドは自分の上で淫らに動いては嬌声を上げる女を、何処か他人事のように見て、今愛しい少女はどうしているのだろうかと、そんなことを考えていた。