鏡の国のソナタ
素奈多は、見透かされたのでどぎまぎする。

「う、ううっ……。悪い?」

クランはクスッと笑った。

悔しいことに、笑顔が素敵だった。

「おまえの名前は?」

素奈多はポツンと答えた。

「そ、素奈多……」

クランは、ニィッと笑うと、バサッとシーツを翻して立ち上がった。

シーツを身にまとい、うやうやしく礼をする。

さっきの夢の中の王子様のようだった。

< 67 / 267 >

この作品をシェア

pagetop