銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
 ここは熱帯雨林地方ですか?ってほどの、凄まじい強さと勢いと雨量。
 まさにスコールだ。

 スコールって言葉の語源は、古スカンジナビア語の『叫び』って説が有力らしいんだけど、たぶんその説で正解!

 悲鳴を上げて叫びまくりたいほど猛烈な勢いの水が、ドォドォと頭上から絶え間なく降り注いでくる。

 あまりに凄まじい水圧にとても立っていられず、がくりと膝が折れてその場に蹲ってしまった。

 痛い、痛い! 雨に叩きつけられて全身が痛い!
 水に顔が覆われて、呼吸が出来ない!
 く、苦しい! 誰か!

 あたしは必死になって、心の中で助けを求めた。

 お父さん、お母さん!
 職場のみんな! 友人たち!
 そして……。

 あぁ、あなた……
 どうか、あたしを助けて……。

『……けて』

 何かが、聞こえた。
 激しい水音に今にも掻き消されそうな、か細い音が。

『……すけて』

 なに? なんの音?

『……助けて』

 これは、人の声?
 誰かが、助けを求めている?


『どうか、助けて』


 明瞭にその声を聞き取った瞬間。
 あたしは全身が分解されるような不快感を感じて、瞬時に意識を失った……。



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