俺様ホストに愛されて
ひどいことを口にするあたしに、太一は終始悲しそうな顔をしていた。
最後には俯いてしまい、チクリとあたしの良心が痛んだ。
これでいい。
これでいいんだ。
ひどいことを言ってあたしを嫌になる方が、太一にとってもいいんじゃないかと思う。
「ごめん」
太一がポツリと呟いた。
俯いているから顔は見えないけど、その声と肩が震えている。
あたしはそんな太一の姿に、唇をぐっと噛み締めた。
無意識に拳をギュッと握る。
「もう……マジで無理なんだな。わかったよ」
顔を上げた太一は、今にも泣き出しそうなほどだった。
そんな太一から目をそらし、視線をカップへと移す。
半分ほど残ったカプチーノはすっかり冷め切っていて、ほろ苦いその香りが時々漂って来た。