俺様ホストに愛されて


「あんなの、話し掛ける為のただの口実に決まってんだろ?なんて声掛けようか迷ったんだよ」



その割には、あたしがハタチって聞いてびっくりした顔してたよね?



「ふーん……でも、あれはないんじゃない?」



高校生?って、最初聞かれたんだっけ。

その後、中学生って。

いくらなんでもそれはないよ。



拗ねたように、唇を尖らせて言ってやった。



相手をその気にさせるプロなんだから、もっと他に言葉があっただろうに。



「仕方ねぇだろ……⁉妃芽を前にしたら、緊張してあんなことしか浮かばなかったんだよ」



「リュウでも、緊張するんだね」



意地悪に笑ったあたし。さっきの仕返しのつもりだったんだけど。



「余裕ぶってられんのも今の内だからな」



不敵な声が聞こえたかと思うと、背中に回されていたリュウの手が後頭部に当てられた。



それをぐいっと引き寄せて、寝転んだままリュウの唇があたしの唇を塞ぐ。



「んっ……」



一度ほだされた体はリュウの温もりを覚えていて、キスだけで胸の奥の方が熱く疼く。



さっき愛し合ったばかりだというのに。



リュウのことしか考えられなくなる。



「今日は寝かしてやんねぇよ」



その言葉を最後に、あたしの体はリュウによって甘く溶かされていった。


< 204 / 402 >

この作品をシェア

pagetop