俺様ホストに愛されて


前を向いていた大樹は、赤信号で停まった瞬間亜希の顔を怪訝に見返した。



「それはっ……」



言いにくそうに口ごもる亜希。



「ホストクラブだよ」



口をつぐんだ亜希に変わってあたしが言った。



「ホストだと⁉」



大樹の顔が一気に険しくなって行く。



チャラい男が嫌いな大樹らしい反応。



「まぁまぁ、落ち着きなって。リュウ君見たら、大樹も絶対納得するから」



クスッと笑いながら亜希がフォローしてくれた。



「ホストなんざロクな奴いねーよ。つーかどうすんだよ?部屋行ってもいねぇんだろ?」



「いいよ、お店の方行くから。あそこの角で降ろして」



そう言って指で前方を差した。




お店に来るなって言われてたけど、いいよね?


嫌われる方法でしか、別れを告げられないもん。


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