長い夜の甘い罠【完】
男が風呂から上がってくれば、食事より何より先に救急箱のありかを問う。
男は大丈夫だの一点張りだけど、これが私が彼にしてあげられる最後の良い事。
「病院行った方が良いんじゃない?」
「これくらい、どうって事ない」
「これくらいって…沢山血が出てるわ?」
「大した事はない」
上半身を露にして貰い、こうして見ると硬い頑丈な肉体に妙にドキドキしてしまう。
そんな中、消毒をしてから傷口にガーゼを宛がいテープでとめた。
これで止血出来たら良いんだけれど…出来ないようなら病院に行って貰わなきゃ。