長い夜の甘い罠【完】
性欲の捌け口なら私じゃなくても他ですれば良いのにって思う。世間体が気になるなら、婚約なんてしなければ良いのに。
彼には矛盾している点が幾つかあるのよね。何を考えてこの様になったのかさっぱりだわ。
「…ん」
背の高い彼は前屈みになると、項へとキスを落とし首筋から耳へと唇を滑らせる。
正直、愛情は全くなく寧ろ憎しみが強くても彼の手に掛かれば快感に溺れさせられる。身体は正直だと言うのはまさにこの事だと思う。