長い夜の甘い罠【完】
その男は車から降りてくれば、私の方へ目掛け一直線に歩んで来る。
こんな所で会うなんて、私ったら何処までついてないのかしら。
「……どうして貴方が居るのよ」
「迎えに来たに決まってんだろ」
「約束してない筈よ」
「約束等必要ない」
男は私の手にしていた鞄を強引に持つと、私の手を引き無理矢理引っ張る。
振り返ると、あっけらかんとしている好青年とその横で笑顔を向け此方に手を振る友人が視界に映る。
ちょっと!暢気にバイバイじゃないわよ!