長い夜の甘い罠【完】
「…どうして…此処に」
「俺の情報網をなめるな」
隼人はふっと小さく笑みを浮かべれば、私の元へと歩むと目尻の涙を指で拭う。
「泣くぐらいなら離れるな」
「…だって……」
「お前が家族を気にしてる事はよく分かる。俺の親父がお前を始め家族を壊した事も許される事ではない」
「………」
「家族を壊された娘と家族を壊した息子が、結ばれる事は端から見れば非常識かもしれない」
「………」
「だが、それを共に背負って生きて行く選択肢もあるんじゃないか?」
隼人は私の頬に触れながら真剣な眼差しで見つめる。