長い夜の甘い罠【完】
…どちらかと言うと、忘れてくれている方が好都合だわ。その方が貴方にダメージを与えやすいもの。
「行くか」
「…ええ」
周りのメンバーの酔いが回り、すっかり出来上がり始めた皆より先に立ち上がると数名いる女の羨む声を尻目に店を後にした。
「何処へ行くの?」
「何処がいい?」
「はっきり言ったらどうなの、ホテルへ行きたいって」
「…お前なぁ」
男は呆気に取られた様に私を見ては呆れたのか小さく溜め息をつく。