長い夜の甘い罠【完】


「どうぞ」

「戴きます」


珈琲の入ったマグカップを受け取り、一口飲むと、また私の中の何かが熱くなる。

私が甘党なのを理解してくれているのか、砂糖とミルクの入った珈琲がとても美味しくて身に染みる。


「今日は有難うな」

「いいえ、どう致しまして」

「帰宅した時、お前がいて正直驚いたけどな」

「でしょうね」


男はソファーに座る私の隣りへ腰を下ろし、ブラック珈琲を飲む。


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