隣のぼーいふれんどサマ。


パタパタと廊下を駆ける音が止まったかと思うと、急に現れた雅があたしの体を、俗に言うお姫様抱っこで持ち上げた。


「なっ、何してんの、バカ!変態!下ろせっ!!」


「ど、どうしたの和紗!!怪我してない?!保健室行く?!」


「うるさい!下ろせって言ってんの!!聞こえないの?やっぱりバカ?わかってたけど、あんたやっぱりバカなの?!」


「んー。僕はね、正真正銘のバカだと思う。」


・・・でしょうね。


あたし、雅と一緒にいるときが、一番大声出してる気がする。


いや、決していい意味じゃなくて、本当に疲れるから!


雅からやっとの思いで逃れると、俊哉が鞄から何かを取り出して、無言であたしに放った。


あたしがそれを受け取る。


それはタオルだった。


そしてあたしは気がつかなかった。


俊哉の左手に、傘が2本握られていることに。


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