隣のぼーいふれんどサマ。



「あ、ありが」


お礼を言い終わる前に、俊哉は踵を返して帰っていった。


・・・何しに来たんだろう?


「ん?もしかして今の、遠野くんじゃないか!!どうしてアイツがここに?も、もしかして僕の和紗を連れ戻しに、わざわざ学校まで来たんじゃ」


「変な妄想するな!第一、“僕の和紗”って何よ、それ!!」


「え?だって本当のことだし。」


「・・・っ真剣な顔して言うなぁぁ!!!」


思い切り強く握り締めた右手を、雅の顔面に向けて動かした。


「ぐぅはぁっ!」


雅が顔面を押さえて、喘ぐ。


「久しぶりだからって調子に乗るからでしょ!!少し黙りなさい!ほら、傘貸して。帰るよ。」


「うぅっ・・・。久しぶりに和紗のパンチくらったよぉ。嬉しいような嬉しくないような・・・。」


雅が目尻に少し溜まった涙を拭いながら、またドM発言をし、しぶしぶ大きな黒い傘を広げた。


・・・傘。


あたし、傘に俊哉との思い出がある・・・。


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