蓮華〜流レルママニ〜

学校からの帰り道に電車に揺られながら、こんな考え事をしている…

この一事をとっても、俺にとっては心地よい。
感情は生の証だと認識しているから…


千草なら…
きっと笑うだろう。
こんな俺を。

でもそれは
『解り合っているからこそ理解しようとはしない』、
という相互理解の極致だと思う。

それだけ千草は俺にとって特別なんだ。

…そんな俺の心の支えと言っても過言ではない千草が、最近休みがちだ。

学校という窮屈で退屈な空間にその存在がないだけで、俺の心は不安になる。

闇が加速する。


一度は深い奈落の底に堕ちた…
いや、落ちかけそうだった所を手を差し伸べ助けてくれたのは千草で、一緒に連れ添う間は、俺の足下を照らしてくれる。

言わば毒素を消す抗体のような中和剤のような存在。


千草がいなけりゃ、今ごろ天海蓮という人間はこの世にいないかっただろう…

一つの無機質な塊として…散っていたかもしれない。


千草が学校を休みだしたのは、6月に入ってすぐの事。
最初は、気分が悪い、吐き気がするなんて言って風邪という名目で休み、
2日目は具合が悪い、と少し大まかな表現をするようになり、
3日目は、本人すら症状を説明できないような高熱を出し、一日中寝込んでいた。

初日は、女の子特有のアレかと思い、俺も深くは聞けず大して心配もしなかった。
だけど、3日目はさすがに不安になり学校帰りに家を訪れ、遅くまで付きっきりで看病した。

その甲斐あってか、ダウンして4日目には熱もひき、翌週の月曜日には元気に登校してきて、ホッと胸をなで下ろしていた。
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