金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜

「また明日、学校で」



その言葉は無視して、私は早足で家まで帰った。

気を許しちゃだめ……

教師なんて信用したって、あとで痛い目を見るだけなんだから……



「ただいま……」



玄関で靴を脱いでいると、お母さんがリビングから出てきた。



「おかえり、ご飯できてるけどどうする?先にお風呂入る?」


「んー……お風呂にしようかな」


私はそう言って二階の自分の部屋に上がり、制服から部屋着に着替える。

一度ちらっと机の上の卒業アルバムを見てすぐに目をそらした。


……今日の儀式は、あとにしよう。


それより……曽川先輩に返事、しなくちゃ。



私は下着やTシャツと一緒に携帯を持って、お風呂場へと向かった。


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