カゼヒキサン。
母さんのメールに呆れて携帯を閉じる。

「海斗……。」

ぎゅ、と俺の服を掴んだ瑞希。

「大丈夫か…?」

「……一人は…嫌だよ、…。」

もう、ポロポロ泣きながら瑞希は言った。

「うん。お前の親が帰ってくるまでここに居るよ。」

優しく…俺は言った。

すると瑞希はぷるぷると顔を横に振った。

「……今日…お母さんは……帰ってこない…。」

………え。

「なんで?」

「…おばーちゃんの腰の調子が…悪くて…手伝いに…。」

「そうか…父さんは?」

そう言うと瑞希は、ボロボロボロボロと泣きだした。



「お父さんは…いないよ……。」


え……?
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