カゼヒキサン。
「…そうやって大人はこういう子供をからかって笑うんだ。」

「別にからかってないわよ。恋をするって言うのは素敵な事なのよ?胸張って恋していけばいいのよ?からかわれてる、笑われてるって感じる様じゃまだまだ甘いわねッ。」

まさに胸張って語るメグちゃんは、少し頼もしく見えた。

「メグちゃん彼氏いるの?」

「えっ、そりゃこのかーわいいメグちゃんだもん☆彼氏くらい…………いません。」

明るいテンションから、急に暗いテンションに変わるメグちゃん。

「…メグちゃん。」

「……で・も・ね!この写メ見てッ☆」

パカっと取り出した携帯に映し出されたカッコイイ男の人の写メ。

「えっ、カッコイイ!この人、誰?」

「…あたしの好きな人ッ!厳しくて、いっつもあたし怒られるんだけど、時たま優しくて可愛く笑うの。その笑顔が大好きになっちゃってさ。」

写メを愛しそうな目で見ながら語ったメグちゃんは、なんだかあたしと似ているような気がした。

あたしも海斗の笑顔が好き。

大好き。

「この写メは、この前隠し撮りしたの!」

「…警官として、ダメでしょ。」

ニパッ☆て笑うメグちゃんは、恋する乙女って感じだった。

「ちなみに彼の名前は神谷啓介。あたしより2つ上の28歳。」

「メグちゃん26なの!?見えない!もはや高校生に見える!!」

「し、しっつれー!!」


「おい、恵!」

メグちゃんと騒いでいた時

ドアが開いて現れた



…メグちゃんは器用に素早く携帯を閉じた。

少し頬が赤かった。


「あのなぁ、ペチャクチャうっせーんだよお前。ちょっとは警官らしく黙ってろよ。」

「なによ啓介!黙ってるのが警官じゃないでしょ?この子も風邪ひいて帰れない状態なんだから暇させるよりいいじゃない!」

「もう暇でもなくなるぞ?」

「は?」

「はい、これその子の携帯だろ?充電切れで、使えなかったんだっけ?そこに充電してたのお前忘れてたんだろ、バカが。」

そう言って、啓介さんはヒュッと携帯を投げた。

「ちょっとぉ、これ瑞希ちゃんの携帯だよ!?こわれたらどーすんのよっ!!」

メグちゃんはそういいながらも、少し慌てても器用に携帯を受け取る。

「俺がハズした事あるかよ。」

「ないけどさー!」

「あ、そうそう。ちょっと仕事あるから、その子無事に迎えがきたらこっち来いよ。」


そう言って啓介さんはふっと笑う。


…素敵な笑顔。


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