竜家の優雅で憂鬱な婚約者たち

「ボタンの位置は決まっている。一番下のボタンが両サイドのポケットの延長線上にあること。二つボタンのスーツであれば、その一から11センチあがったところにもう一つのボタンがある」

「三つボタンだったら?」



花沙が来ているのは三つボタンだ。



「真ん中のボタンからさらに等間隔上に一番目のボタンが来る」

「なるほど……」



彼の指が一番上のボタンを押さえるのを見て、エリはこっくりとうなずいた。



「ただ、ボタンはフロントだけじゃない。さて、どこだ?」

「え、クイズ?」



表以外のどこにボタンがあったっけ、と首を傾げた瞬間――

『Mistletoe』に、若干古めかしい、来客を知らせるブザーが鳴り響いた。



まさか……お、お客様!?




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