竜家の優雅で憂鬱な婚約者たち
グルグル、くだらない言葉が頭の中を回り、占領する。
雨の中、母と言い合っていた男の冷淡な表情が、まぶたの裏にはりつく。
きっとあの男だって、私のことは邪魔に決まっている。欲しいのはきっとお母さんだけだ。
直接言葉をかわしたわけでもないのに、そうとしか考えられない。
負のループに足をとられて、思考回路がそれ以上活動するのを止めてしまったようだ。
「大事なことなのよ。お願いだから、話を聞いて」
「――いやよ……」
「エリ!」
「おとっ……あの人のことなんか今さら持ち出さないで! やっと忘れかけていたのに、私のこと振り回さないでよ!」
そうだ。振り回されたくなんかない。
男になんか、もう、傷つけられたくない。
「だけど、」
「知りたくないってば!」
両手でテーブルを叩いて立ち上がる。
手のひらがビリビリと痺れたが、痛みはほとんど感じなかった。