竜家の優雅で憂鬱な婚約者たち

何が王子様のスーツだ、

水色の瞳の貴族だ。ラクダだ……。



そのせいで私は――



『わたしのおとうさん』


幼いエリが誇らしげに教室で発表した「わたしのおとうさん」という作文が受け入れられたのはほんの数日だった。


クラスメイトがエリの話をもっともっとと聞きたがって、教室が落ち着かないことをよく思わない教師から「嘘つきは泥棒の始まりですよ!」と叱られた。


幼い子供たちにとって、教師の言葉は、大人の言葉は絶対。エリはたちまち、クラスの人気者から嘘つきのレッテルを張られてしまったのだ。


何日も『お腹が痛いから学校に行きたくない』と、部屋に引きこもるエリを不審に思った桜子が、学校に出向き、とりあえず職員室内でお詫びの言葉はあったが、教室の子供たちに教師は決して説明したりしなかった。
『子供たちの前で、自分が間違っていたと認めるわけにはいかない』の一点張りだった。


結局桜子は、エリを連れてその街を離れ、いくつか住まいを転々とした後、この地にマンションを買い、落ち着いた――。




< 35 / 120 >

この作品をシェア

pagetop