竜家の優雅で憂鬱な婚約者たち

こんなカッコイイ人、このマンションの住人にいたっけ……?

いや、いないよね。誰かを訪ねてきたのかも。



エリは細く息を吐き、目を伏せた。



『あの人』が残した後遺症で、エリはスーツを着た男が生理的に無理だった。

お洒落であればあるほど、『あの人』を連想させた。



「失礼します……」



エリは小さく頭を下げて、彼の横を通り過ぎようとしたのだが――

「カズサ、待ちなさい!」

また、前からスーツの男が現れて、偶然なのか、エリの行く手を阻んでしまった。



「ツキト」



釣り目の、カズサと呼ばれた青年が、ため息をつきながら振り返る。


後から追いかけてきたのがどうやら「ツキト」らしい。

が、その姿を見て、エリは気圧されたように数歩後ずさる。



また、イケメンスーツだ……!!!




< 39 / 120 >

この作品をシェア

pagetop