竜家の優雅で憂鬱な婚約者たち
おまけに二人ともスーツを着るために生まれてきたようなスタイルだ。
目算するところ、カズサと呼ばれた弟が180センチないくらい。そしてあとからやってきたお兄さんのツキトが、180センチ強といったところだろうか。
(エリは自分の身長が高いため、男子の身長を素早く目算できるという特技がある)
「――とにかく、今日は出直して……」
言いかけたツキトが、硬直しているエリを見て、ふと言葉を止める。
怪訝そうに目を細められて、心臓が縮みあがった。
ひっ、美形スーツに見られた!
エリは目の前で繰り広げられる兄弟げんかに気を取られていたことに気付き、慌ててその場を離れようとしたが
「あ、あんた、ちょっと待って。教えてくんない?」
カズサがエリの手首をつかみ、顔を覗き込んできた。
うぎゃーーー!
イケメンスーツ禁止!
近づかないで!!!!
心の中で叫んだけれど、彼に届くはずもない。