竜家の優雅で憂鬱な婚約者たち
カズサはキラキラと輝く大きな瞳で、じっとエリの目を見て問いかける。
「このマンションにさ、エリ……エリィ? って女住んでるの知らない? 名前しかわかんないんだけど」
「えっ!?」
エリ!?
私もエリだけど、きっと関係ないと思う!
だって私、エリコだし!
「し、しっ、知りません!!!!!」
「あ、そ。だよなあ、そんなわかんないよね、名前だけじゃ」
カズサは苦笑しながら、つかんでいたエリの手首を放す。
「ごめんね」
「あは、いえいえ! 失礼、いたしますっ……!」
母とケンカしたことを忘れそうなショックを受けたエリは、ぺこぺこと頭を下げ、そのままふらふらとエントランスを出て、マンションを飛び出す。
ああ、もういったいなんなのよ!?
カズサという青年につかまれた手首はそれほど強い力ではなかったのに、ジンジンと痺れていたし、その兄であるらしいツキトに見られた頬は、いつまでも熱が引きそうにない。
今日は厄日だ!
最低だー!!!!