竜家の優雅で憂鬱な婚約者たち
結局、コンビニで一時間ほど立ち読みをしたあと、読む雑誌がなくなって家に帰ることにした。
母がいたら何を話そうかと思い悩んでいたのだけれど、もうやすんでいるらしい。家の中は真っ暗だった。
「はぁ……」
エリはため息をつきつつ、ごろんとベッドに横になり目を閉じる。
イケメンスーツ兄弟のことはとりあえず置いといて、まさかお母さんの大事な話が、恋人とかそういうのではなく『あの人』のことだとは思わなかった。
正直、どうして今さら?という疑問が頭から離れない。
もしかして、連絡があったとか……?
会いたいって言ってるとか?
そんなはずない。まさかね……。
しばらく眠れないまま、ベッドの中をゴロゴロところがっていたエリだったが、ガチャン、とドアが閉まる音がして、体を起こす。
エリが薄く部屋のドアを開けると、うつむいた桜子が玄関のエリの靴をジッと見つめていることに気付いた。
「――お母さん」
もしかしたら私のこと探してた?
いてもたってもいられなくなって、ドアを開けて呼びかけると、桜子はホッとしたように微笑む。