竜家の優雅で憂鬱な婚約者たち
背はそれほど高くない。けれど、ピンと背筋が伸びているのが印象的で。黒髪はまっすぐで美しく、美人しか似合わないボブスタイルは、顔の造作も相まって、日本人形のようだった。
けれどお高く留まっている雰囲気はなく、ころころと鈴を転がすように笑う彼女は、エリの話を面白そうに聞いたあと、なにが気にいったのか「どうぞよろしくね」と、真っ白で小さな手を差し伸べ、握手までしてくれたのだ。
ああいうのをカリスマとか、オーラとかいうんだわ。
サインとかもらえないかな……いや、一緒に写真でも……。
まるでアイドルに会えるかのように、ワクワクしながら、いつも持ち歩いている小さな手帳の余白に「オーナー来店」と書き込み、さらにピンクのハートを付け加えていると――
「舎李樹さん、紳士用品の売り場にうちの荷物が混じったみたいなの。取りに行ってもらえない?」
店長から言われて、手帳を閉じポケットにねじこんだ。
「はいっ!」
Camelliaの荷物が、分室から紳士用品や婦人用品の売り場に間違って運ばれることは多々あった。
これもいつもの仕事だ。