竜家の優雅で憂鬱な婚約者たち
男はずらっとハンガーにかかったスーツの前に立ち、一見無作為に2着選ぶと、自分の体の前に並べて、エリに見せる。
「えっ!?」
し、質問!?
「イギリス製の生地とイタリア製の生地だ。どっちも値段は同じくらい。どこが違う?」
どこが違うって……
そんなの知らないわよ!
と、叫びたいのをグッと我慢して、エリは二つのスーツを見比べた。
何が違うって……
イギリス製……イタリア製……
そういえば――
ふと、脳内に『あの人』の言葉がよみがえる。
エリは自然と、男が右手に持っていたスーツに、指を向けた。
「イタリア製の生地は、光沢があります。イタリア製の生地の特徴です」
「どうして艶が出る?」