竜家の優雅で憂鬱な婚約者たち
「でも、デートって……?」
「月翔と雪兄を出し抜くにはスタートダッシュしかないよね」
花沙はエリの隣に腰を下ろし、彼女のテーブルの上のサンドイッチをつまみ、頬張る。
サンドイッチの大半は彼が食べてしまったが(そういえば月翔は小さなひとかけらを一口だけ食べただけだ)
彼のスマートな体のどこに消えていくのか、不思議で仕方ない。
「出し抜くって……」
言っちゃあなんだけど、唯一積極的なのは、確かに花沙くらいで、上二人は私なんかまったく眼中にないのがありありなんだけど。
「固くならなくていいよ。生活に必要な物もあるだろ? ショッピングを兼ねてさ」
「う、うん……」
そう言われれば確かにそうだ。
エリがこっくりとうなずくと、花沙は「んじゃ、決定」とパチンを指を鳴らして立ち上がった。
「いいよな、月翔?」
「どうぞ、ご自由に。なにも制限なんてしませんよ」
彼は紅茶のカップを優雅に運び、テーブルの向こうのエリと花沙を冷めた眼差しで見つめる。