竜家の優雅で憂鬱な婚約者たち
正直、彼ほどの美貌があれば、違った方法で店を持てそうだ……。
『お金を持ってきてください』
『はい、喜んでー!』
命令する月翔と、彼の美貌に参った女たち、という絵を、妄想をする。
うん、あるある。ありそう!
っていうか、私が月翔くらいの美貌があれば、ホストでもなんでもしちゃうけどな!
が、そんなことを口にすれば即座にひどい目に合されそうということも、この短い付き合いの中で薄々理解していたので、エリは黙ったまま紅茶を流し込む。
「じゃあ、一時間後に玄関な」
花沙が食堂の壁の柱時計に目を向ける。
「そんなにかからないよ? 着替えるのに十分くらいもらえたら」
「あのなぁ……一応俺、デートって言っただろ?」
呆れたようにため息をつき、じいっとエリを見つめる花沙。
彼の眼差しは、Tシャツにオーバーオール、そしてすっぴんの自分の頭の先からつま先まで、を行き来している。