竜家の優雅で憂鬱な婚約者たち

「――いいんじゃないんですか? メイクなんてしようがしまいが一緒でしょう」



さらにそこへ月翔の容赦ない一言が突き刺さる。



「いえ、メイクします……ごめんなさい」



確かにそれほど変わらないけど。一応花沙はデートだって言ってくれたんだから、それなりにきれいにしなくちゃだよね。


エリは「ごちそうさまでした」と手を合わせ、食器を持って立ち上がった。



「ああ、そこに置いといてください」

「え、でも食器くらいは自分で洗おうかと」

「あなた、乱雑に扱いそうですし。食器割られそうなので、結構です」



ピシャリと言い放つ月翔に、反論の余地はない。



「――はい……あの、わかりました。美味しかったです。ごちそうさまでした」



なんていうか――

月翔ってドラマで見る意地悪な姑みたい。


勿論そんなことは口には出来ないのだが――

いちいち厳しい月翔に頭を下げ、エリはそそくさと食堂を出て、二階の部屋へと駆けのぼった。




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