竜家の優雅で憂鬱な婚約者たち
「年は関係ないだろ」
「あるわよ。日本では古来から、年上は敬うっていう風習があるでしょ?」
「それは男女の間では、ないね」
花沙は皮肉っぽく笑うと、ドアノブに手を掛けて外へと出る。
「俺はあんたにとって、十分男だろ?」
「ッ……」
男を意識させる言葉に、ドキッとしたのは言うまでもないが、はいそうです、とうなずくのもしゃくだった。
「全然っ!」
わざと強がって、花沙の背中に体当たるようにしてエリも外に出る。
二人は電車に乗って、街へと出る。
とくにこれと言って目的があったわけではない。
恵比寿から渋谷へ、明治通りを歩く。途中あれこれとショップを覗く、のんびりと歩きながらのデートだ。
気が付くと、そのまま原宿まで二人は歩いてきていた。