ラララ吉祥寺
木島さんの子供に対する愛情は、私のそれとは少し違っている。
私がどうにかして守ってやりたくて、彼を囲ってしまおうと躍起になるのに対して。
木島さんは、どうにかして自分で解決させようと、回り道をしてでも紡に考えさせる。
子どもだからと言って容赦なく、理屈を説明して納得させようとする。
紡は本当に理解しているかどうかは別として、彼があまりに真剣に話すので、頷くしかないのだと思う。
紡は彼を通して信頼を学んでいる。
私が彼を信頼していると同じように、紡は父を信頼している。
素敵なことだと思う。
何があっても揺るがない、絶対的な頼れる存在。
木島さんが目指しているのは、そんな父親像なんだろうなぁ〜
私たちは結婚という形に抵抗はしていても、家族としての役割には人一倍敏感で拘るのだ。
ふふっ……、このお腹の子が女の子だと知ったら、彼はどんな反応をするかしら?
今から楽しみ。
女の子相手に、彼はどういう父親の役割を演じてくれるのだろう?
愛情が勝って、私が妬くほどに溺愛してしまうのかしら?
厳しく躾ける役目はわたしに回ってきたりして。
「文子、なに一人でニマニマしてるの?」
気が付くと目の前に木島さんがいた。