ラララ吉祥寺

木島さんは直ぐ私に追いついた。

「文子、もしかして陣痛始まった?」

「う〜ん、まだ間隔は開いてるけど、お腹が張ってるのは確かだと思う」

「わかった。とりあえず一度家に戻ろう。荷物をとって、ツムグを芽衣さんに預けて……」

「イタタタ……」

「と、そんな悠長なことしてる間はないか。先に病院に連絡した方が良さそうだな」

イタタタ……

「ツムグ! 母の一大事だ。車に戻るぞ。病院に行かなくちゃならない」

痛みで蹲る私を膝から軽々と持ち上げて、木島さんんが歩きだす。

その後を自転車に跨った紡がヨロヨロと着いてくる。

「ツムグ、無理にこがなくても、足で蹴って進めばいい。転ぶなよ」

無事に駐車場まで辿りついた私達。

先ずは私を前の助手席に座らせると、木島さんは「良くやった、偉いぞツムグ、さすがお兄ちゃんだな」と紡を褒めた。

「おにいちゃん?」

「そうだ、ツムグはもうすぐお兄ちゃんになるんだからな。

母のお腹から、ツムグの弟か妹が生まれるんだ」

「うまれる? きょう?」

「そうだな、今日か明日。だから、母は暫く病院に居なきゃならない」

「わかった」
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