ラララ吉祥寺

結局、病院に着い時には子宮口が3センチも開いていて、華はあっという間に生まれてしまった。

あ、華というのは生まれた長女の名前です。


予定日より、少し早い出産だったこともあり体重は2600グラムと少し小さめ。

でも、元気です。

お乳の吸い付きも良いし、よく動く。

おしとやかな女子にはならないかもなぁ〜


悲しいかな、産科病棟には小さな子供は入れない。

「あかちゃん、ちっちゃいね」

ガラス越しに妹と対面した紡は、神妙な面持ちで木島さんにそう呟いたのだそうだ。

彼なりに、小さい妹を迎える心構えとやらを膨らませているのかもしれない。


驚いたことに、退院前日、フランスから父が慌てた勢いでやってきた。

「今度は女の子だそうじゃないか!

おぉ、なんて愛らしい!

文子の赤ん坊の頃を思い出すなぁ」


「僕が知らせたんです」

「それはとてもありがたいのだけど、なんか喜び方のテンションが違いますね」

「確かに。でも、なんとなくわかります。僕もソワソワしますから」

「えっ? 木島さんも?」

「白状します。

同じ自分の子、というのは頭ではわかっていても、異性という点が客観性を失わせるのかな」

「もしかして、俺の目の黒いうちはこの子は嫁にはやらん! みたいな?」

「う〜ん、目の中に入れても痛くない、みたいな感じでしょうか?」

「痛いでしょ普通に。木島さん、しっかりしてください!」

……ハハハハ、冗談ですよ、と木島さんは笑っていたけれど。

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