ラララ吉祥寺

「そうですか、わかりました。

じゃ、お言葉通りに受け取らせて頂きます。

でも、先ずは自己紹介ですね。

僕は、木島龍之介、37歳、独身です。

隣り駅の西荻窪で古物商を営んでいます。

実は今まで住んでいたアパートが取り壊されることになりまして、新しい住まいを物色中でした。

駅前のワンルームでも借りようかとも思ったのですが、何だか味気なくて。

そこで少し前にtwitterで見かけた可笑しな同居人募集の広告を思い出したんです。

ちょっと間も空いているし、もしかしたらもう埋まってしまったかもとは思ったのですが。

思い立ったら吉日とメールを差し上げた次第でして」


淀むこと無い木島龍之介の話には、疑問を挟む余地がなかった。

この流れだと、わたしは彼に今の状況を包み隠さず話さなければならないだろう。

「まだ一部屋空いていることは空いていますが、四畳半ですよ。狭くないですか?」

確かに一部屋空いてはいるが、この大きな彼にあの部屋は余りにも小さく思えたのだ。
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