ラララ吉祥寺
「ハハ……、文子さんは多分僕のこの体格を見て心配して下さってるんですよね。
確かに無駄に大きいからなぁ~、自分でもそう思います。
でもご心配には及びません。
家ではほぼ寝るだけですし、今のアパートも1DKで寝室は四畳半しかありませんでした。
僕はそんな贅沢は望んでいないんです。
店を構えたばかりなので、余分な出費はなるべく抑えたいですしね」
彼、木島龍之介はそう言うと、照れくさそうに頭を掻いた。
少し伸びかけの五分刈りに、ところどころ白髪が混じる。
彼はきっと正直な人に違いない。
わたしは芽衣さんの忠告も忘れ、すっかり彼を信用してしまっていた。
「じゃ、兎に角中へどうぞ。立ち話も目立ちますし」
わたしは彼を家の中へと促した。