ラララ吉祥寺

「どうでしたか?」

木島さんが心配そうに聞いてきた。

「最近胃もたれしてるって言ってたから、ちょっとシチューが重たかったのかも」

「残念だな、美味しいのに」

実はもう一口味見しちゃいました、と彼は笑った。

この季節、シチューは保存が利くけれど、わたしは彼女の体調が気にかかった。

トイレから戻った彼女は、ご心配おけけしました、とわたし達に謝った後、今日はシチューは止めときますと断って、自ら買ってきたサラダやマリネを食べていた。

グラスに注いだワインがなかなか減らないところを見ると、お酒もセーブしているのだろう。

彼女がこの家に来てから早二ヶ月が過ぎようとしている。

「報われない恋も捨てることにしたんで」と呟いていた彼女の過去を思った。


もし、つわりだとしたら……
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