ラララ吉祥寺

どうやら、わたしの心配はとり越し苦労だったようだ。

次の朝、芽衣さんは少しだけ遅めに起きてきて、いつものように元気一杯朝食を食べた。

単なる胃もたれなら、早寝早起きで体調整えて、油物控えたヘルシーメニューで過ごせばじき良くなるだろう。

とりたてて、芽衣さんが思い悩んでる様子も無かったわけだし。

報われない恋を捨てたという言葉から、すぐさま妊娠に話を繋げるのは短絡過ぎる。

どうも思い込みが激しくていけないな、と自己反省。

彼女の前向きに生きている今を信じようと思い直した。



暫くの間、わたしはその日の事を忘れていた。


それは、夕食の後片付けをしていた時だった。


<ドスン>


微かな地響きがわたしを足の裏から突き上げた。


それは、確かに、何か大きな物が床に落ちた音だった。
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