ラララ吉祥寺

「いただきます」

木島さんと向かい合って座り、手を合わせた。

「木島さんの料理って、ほんと優しい味がします」

「そうですか? まぁ、祖母は優しい人だったから、それが伝わっているなら嬉しいな」

「この蕪の糠漬けも、美味しいです」

彼は自前の小さな糠床を持っていて、毎日の世話を怠らない。

きゅうり、人参、大根、蕪。

キャベツやセロリの糠漬けも割りと美味なのだ。

食事の時、彼は食卓を見渡すと、メニューに合わせてた糠漬けを出してくれる。

朝、野菜が足りないと、大根や人参の浅漬けをスティック状に切ってサラダ仕立てにしてみたりもする。


「で、芽衣さんの様子はどうでしたか?」


食事も終わり、木島さんは緑茶を湯飲みに注ぎながらわたしの様子を伺った。
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