向日葵

…ガンッ

扉を開けようとするが、鍵がかけられているのか、何度やっても開かない。

…ガンッガンッガンッ

｢おい、開けろ！｣

中からはなんの返事もない。


｢クソがぁ。｣

すぐさま裏に回る。
そこには大分使われてなくてボロボロになった木の扉があった。

｢よし、これなら行ける。｣


…ドガァン

物凄い音と共に埃が舞い、古めかしい木の扉が開け放たれる。

｢真尋〜！！｣

腹の底から声を出す。
そこには、服を脱がそうとしている山口豊と、それを笑って眺めている山口圭介の姿があった。


｢てめぇら。。｣

２人がこっちに目を向ける。
豊の顔は恐怖に引きつる。だが山口の方は相変わらずのニヤケ顔だ。


｢ゆ、祐介…｣
｢誰かと思えば藤岡かぁ。何しにきたんだ？｣


こいつはなんでこんなに冷静でいられるんだ？


…ブツッ。
瞬間、頭の中で何かが切れたような嫌な音がする。


｢先生こそ何してるんですか？｣

｢別に何もしてやしないよ？まぁ、こいつは服を脱がそうとしてるけどな。はっはっは。｣

嫌な笑い声。
そして、もうひとりにも問う。

｢豊。一体何がしたいんだ。｣

｢……お、お前が悪いんだ。昔の事なんか全部なかった事にして、楽しそうに生活しやがって。僕はずっと昔から真尋ちゃんが好きだったのに。｣

｢そうか、お前に何か酷い事をした記憶はないが、他の事なら謝ったと思うが、お前らは一番しちゃいけない事をしちまったよ。｣


言い終えると同時に無表情で真尋に乗っかっている豊の顔面に膝を入れる。
もう、忘れていた懐かしい感触。
もう、二度と思い出したくなかった感触。
豊の鼻が別の方向を向くと同時に血が溢れる。