涙のあとの笑顔
「フローラお姉ちゃん、困ったことがあれば言ってね?全力でサポートをするから」

 ステラの親は小さく笑いながらステラを見た。

「ステラがサポートをされるんじゃないの?」
「もう、そんなことないよ!」
「つまみ食いは駄目よ?」

 じっとステラを見ると、顔を引きつらせている。

「食べていないからね?そんな疑いの目で見ないで!」

 私もおかしくなって、一緒に笑いあった。
 再度、詳しい説明を聞き、必要な書類を記入し、二週間後に働くことになった。

「じゃあ、今日はこれで終了ね」
「はい、では一週間後に」
「お姉ちゃん、これから頑張ろうね!」
「うん!」

 やっと社会人としてスタートすることができる。覚えることがたくさんあるけど、頑張ろう!
 城へ入り、階段を上がると、ケヴィンが待っていた。

「もしかして、ずっとここにいたの?」
「ううん、窓の外を見たら、フローラが見えたからここに来たよ」
「た、ただいま」

 何か照れくさい。どうしてこんな気持ちになるの?

「何でそんな顔をするの?」
「そんな顔?」
「少し赤いよ?」

 ケヴィンが指先で私の頬をトントンと叩いた。

「熱?」
「違う、健康!」
「変なフローラ」
「話は無事に済んだみたいだね」
「うん、ちゃんと終わったよ」
「今度から食事はステラのところで食べるね。いっぱい注文してあげる。それと・・・・・・可愛い店員を持ち帰ることも」
「ケヴィン!」

 私の表情が一変し、ケヴィンは上機嫌になった。
 朝に目が覚めたとき、テーブルの上に手紙と花束が置いてあった。手紙には私の誕生日を祝福する言葉が書かれていた。

『お誕生日おめでとう、フローラ』

 廊下を見たが、誰も歩いていなかった。

「いつここに入ったの?レナード」

 夜、寝る時間は遅かったため、起きる時間も少しずれた。夜中か早朝のどちらかに決まっている。
 本当なら、直接届けてくれた礼を言いたかった。

「誰からの贈り物?」

 花束を飾りながら、イーディが私を見て訊いた。

「私の大切な人からだよ」

「何も言わずに置いていくなんて、ちょっとロマンチックな感じがするわ」
「そうだね」

 彼は今、城の中のどこかにいるだろう。

「私、ニールさんが病院にいること、後になって知ったの」

 ニールさんときちんと話をしたいから周囲の人に居場所を教えてもらい、彼が怪我をして、病院で治療を受けていることを突き止めた。
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