涙のあとの笑顔
学園祭と写真
 昼食を食べ終え、食堂でのんびりとステラを待っていた。

「そろそろステラ、来るよね?」
「もう時間だからね。可愛かったね、衣装」
「本当、よく似合っていた。フリルのついた服もいいね」
「あれ?お前らも来ていたのか」

 声をかけたのはノアさんだった。

「ノアさん!来ていたんだね!」
「おう!楽しんでいるか?」

 頷くと、わしゃわしゃと頭を撫でられた。

「イーディ、こうして会うのは久々な感じがするな」
「何をおっしゃっているのですか、つい最近もお会いしましたよ?」
「あれ?そうだっけ?記憶力が落ちてやがる」

 イーディは口元に手を当てながら笑っている。

「ルアナさんと一緒なの?」
「あいつは屋台の食べ物を片っ端から食っている。どこにいるんだか、わかりゃしないな」

 ルアナさんが食いしん坊だなんて、見た目からしてそんな感じに見えなかった。

「この間もな、街でパイを売っていたから買ったんだよ。そしたら、どこから来たのか、ルアナが現れて今にも涎をたらしそうにしながら、じっと無言で見ているんだよ。結局、半分分けたんだ」
「涎をたらしてなんかいない。嘘を吐かないで」
「実はこれにはまだ続きがあるんだよ。俺のだけじゃ足りないから、他のものまで買わせたんだぜ」
「そんなに美味しいのね、そこのパイ」
「注目するところがそこかよ!?」
「そう、今度一緒に買いに行こう。そのときもノアが奢ってくれるから」
「しかも支払いは俺!?」
「他にいないでしょ」

 がっくりと項垂れるノアさんに構わず、後から来たルアナさんは荷物を置いた。

「ルアナさん、荷物、すごいね。持つのが大変そう」

 食べ物がほとんどだと一目でわかった。本当に好きなのね。

「ノアったら、荷物持ちが嫌で逃げ出したのよ」
「ほとんどが食べ物だろ」
「だってどれも食欲をそそられるから」
「買い過ぎだ。いつも言っているだろう?」
「イーディ、ルアナさんは太らない体質なんだね」
「いつ見ても羨ましいわ」

 バタンとドアの音を立てて、息を切らしてステラは来た。

「ごめんなさい、約束の時間より少し遅くなっちゃった」
「いいよ、お疲れ様」
「ジュースあげる、頑張ったご褒美」

 買ってからそんなに時間が経っていないから、まだ冷えた状態のまま。
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