甘え下手
「大丈夫! 俺がそんなの気にするほどのことじゃないって言っといたから! 比奈子ちゃんも俺のひとことで浮上したみたいだったし」
「ホントー? 仁さん、ナイス!」
親指を立てる沙綾に、仁は胸を張ってみせて、その場はまるく収まったようだった。
ただ俺の胸にモヤモヤが残っただけで。
妹のピアスがあったってショックは、他の女の私物があった時よりも、はるかにショックがデカいはずだってこと。
それを笑って済ませる沙綾の能天気さにムカついた。
いつだってそうだ。
足を踏んだ方は踏んだことなんて覚えちゃいねえんだ。
イライラする。
そして百瀬比奈子にも。
俺があんだけ吐かせようとしたのに、頑なに言わなかったことを、仁には相談していて励ましてもらっていたとか。
多少なりとも近い位置に存在していると思ってたのは俺だけか。
それが真実だとしても百瀬比奈子に落ち度があるわけじゃないのに、それでもイラつきは収まらなかった。
俺の口数が少ないのはべつに珍しいことじゃないから、沙綾と仁はたいして気にも留めずに違う話題で盛り上がっていた。
「ホントー? 仁さん、ナイス!」
親指を立てる沙綾に、仁は胸を張ってみせて、その場はまるく収まったようだった。
ただ俺の胸にモヤモヤが残っただけで。
妹のピアスがあったってショックは、他の女の私物があった時よりも、はるかにショックがデカいはずだってこと。
それを笑って済ませる沙綾の能天気さにムカついた。
いつだってそうだ。
足を踏んだ方は踏んだことなんて覚えちゃいねえんだ。
イライラする。
そして百瀬比奈子にも。
俺があんだけ吐かせようとしたのに、頑なに言わなかったことを、仁には相談していて励ましてもらっていたとか。
多少なりとも近い位置に存在していると思ってたのは俺だけか。
それが真実だとしても百瀬比奈子に落ち度があるわけじゃないのに、それでもイラつきは収まらなかった。
俺の口数が少ないのはべつに珍しいことじゃないから、沙綾と仁はたいして気にも留めずに違う話題で盛り上がっていた。